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こけし小噺 第一回 「たこぼうずのはじまり」



  深くて濃ゆ〜いこけしの森の入り口に、
ようやく立った仙台こけしぼっこ。
点々と光る道しるべを頼りに、あっちをウロウロこっちをウロウロ。
でも、まだまだ目が慣れないせいか、森の中は真っ暗です。
こけしの森に立ち並ぶ、あんなこけしやこんなこけし。
どうしてこんな模様なの?一体どんな人が作ったの?
それぞれが持つ物語を、少しずつ勉強して、
こちらに紹介していこうと思います。
どうぞお付き合いくださいませ。

 
 さて、記念すべき第一回は、
福島の中ノ沢温泉を中心に作られているこけし、
通称「たこぼうず」の起源について。
こけしの森にて強烈な個性を放ち、
花に例えるなら、そう、まるでラフレシアのよう。
一度見たら忘れられないこのこけしに、
私、猫空はすっかりイカレコレ。
ついには息子がたこぼうずを嫁に連れてくる夢まで見る始末。
酔っ払いのように赤く隈どられた目は、
かっと見開かれ、虚空を見つめています。
可憐、素朴な東北の少女を彷彿とさせるこけしが多いなか、
このこけしは性別すらあやしい。
宴席で女装したおっさんのようです。
こんな奇天烈なこけしを生み出した岩本善吉とは、
一体どんな御仁だったのか。
『こけし辞典』をひも解いてみました。

 
 岩本善吉は明治
10
年、
宇都宮市に呉服屋の次男として生を受けました。
幼い頃に、芸妓屋に養子に出されたものの、
明治
27
年に、兄金太郎が病死したため、
実家に呼び戻されます。
しかし、すでに立派な遊び人に成り果てていた善吉は、
家業などそっちのけ。
ある時は、歌舞伎の真似事をしてトンボを切り、
またある時は、軽業一座に加わって一輪車で綱渡り、
またある時は、出初式の梯子乗りで転げ落ち、
全身の傷は
48
ヶ所にのぼったとか。
その上、大の喧嘩好きで、数々の修羅場をくぐりぬけ、
ついには「宇都宮の小天狗」と呼ばれる有様。
もちろん家業は傾き、明治
34
年、故郷を離れ、
流浪の旅が始まります。
東京浅草で習った木工旋盤で身を立て、
一時は
18
人の職人を雇って工場を新築し、
山林を買うほど羽振りが良かったものの、
大正の不況で事業不振に陥り、また各地を放浪。
福島の中ノ沢に落ち着いたのは、
大正
11年、善吉46
歳の時でした。
その後、磯谷茂の山一商店の注文を受けて、こけしを作り始め、
「人の真似を絶対にしない。」ことを信条に、
独創的なこけしを作り続けます。
胴に描かれた鮮やかな牡丹は、須賀川の牡丹園にちなむとも、
また、得意の入墨から想を得たとも言われており、
十八番の逆さカッポレ
(逆立ちして股に張子の面をはさんで踊る。
)
に使う張子の面が、善吉こけしの顔によく似ていたそうです。
中ノ沢でも破天荒ぶりを発揮した善吉は、
昭和
9年、心臓発作で死去。58歳でした。

 
 奔放な生活の中で、
ろくろを挽いてこけしと向き合う時間は、
彼にとって何だったのか。
製作期間は
9
年と、決して長くはなく、
遺作もそう多くありません。
しかも、彼のこけしはさっぱり売れず、
その死後、持て余した息子芳蔵によって、
ダルマストーブに薪代わりにくべられていたところを、
川口貫一郎に救われ、今に残っています。
善吉のこけしを眺めていると、
最初はその異様な面貌と、迫力に気圧されますが、
その内、その表情にどことなく諦念を感じるようになります。
宴の最中に、ふと我に返ったようなその顔は、
過ぎたことは過ぎたこと、しかたないしかたない、
と呟いているかのよう。
気がつけば、このこけしに心癒されている自分がいます。
まるでいつも善吉こけしと一緒のような口ぶりですが、
一本も持っておりません。今や高値の華ですから。
図版を眺めてはため息を吐く、今日この頃。

 そんなたこぼうずは息子芳蔵に受け継がれ、
芳蔵からさらに数人の工人に伝授され、
それぞれ個性豊かなたこワールドを展開しています。
芳蔵とその後のたこぼうずについては、また次回に。

 

★参考文献 

・『こけし辞典』鹿間時夫・中屋惣舜編 (東京堂出版1971年刊)

・『木の花第拾三号・第弐拾七号』こけしの会編

★画像は『こけし 美と系譜』鹿間時夫・中屋惣舜著(社会思想社1966年刊)より転載
 右側が善吉こけし、左側は息子芳蔵のも
 お願い:出版社が廃業したため、この写真の著作権者が不明です。
     ご存知の方は、どうぞお知らせくださいませ。

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